衆院解散に関し、首相は23日の記者会見で、9月30日の総裁任期満了前に踏み切る考えをほのめかした。
夏の東京五輪・パラリンピックを成功に導き、その余勢を駆って解散を断行。
一定の勝利を獲得して「国民の信を得た」とアピールし、総裁選を無投票再選に持ち込むのがメインシナリオだ。
だが、ただでさえ無派閥で党内基盤の弱い首相の求心力は、今回のトリプル選全敗で深く傷ついた。

自民は1月の山形県知事選、3月の千葉県知事選で推薦候補が連敗し、
1月の北九州市議選でも現職6人が落選するなど地方選でも不調が続く。

10月に衆院議員の任期満了を控える中、「選挙の顔」の資格に強い疑問符が付けば、
力の源泉である解散権を実質的に封じられたり、党内のムード次第で「菅降ろし」が表面化したりする可能性もゼロとは言えない。

政策面では、首相が「最優先課題」と位置付けるコロナ対応の行方が注視される。
「(人に任せず)全部を自分で決めたがる性格」(官邸スタッフ)と言われる首相は、
これまでも緊急事態宣言の是非や観光支援事業「Go To トラベル」の停止などを巡り、決断のぶれや迷走を指摘されることがあった。
選挙の敗北が政権支持率にマイナスに作用した場合、首相がその時々でより的確、合理的な意思決定を行っていく政治基盤も損なわれる事態が有り得る。

九州選出の自民中堅衆院議員は、今後の政治情勢をこう占ってみせた。
「今回の負け戦で、有権者の『自民離れ』の底流が変わっていないことが裏付けられた。
一気に『政局』になるかもしれんよ」

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