問題のオンライン会議には、内閣府の山田正人参事官が同席している。
彼は経産省から出向した異色の官僚で、筋金入りの反原発派として知られる。
核燃料サイクルに反対する「19兆円の請求書」という怪文書をマスコミにばらまいたといわれ、
その後は閑職に追いやられていた。
 河野氏は2020年に規制改革相に就任したとき山田氏を補佐に抜擢し、
内閣府に「再生可能エネルギータスクフォース」(再エネTF)を結成した。
彼が再エネの規制を撤廃するために、河野氏の虎の威を借りてエネ庁を脅しているのだろう。
その本丸がエネ基である。
 再エネTFが経産省の有識者会議に出した提言は「再エネ最優先」の原則を打ち出し、
「再エネ36〜38%以上」にしろとか「住宅用太陽光発電を義務づけろ」などと提言して、
他の委員を驚かせた。
 日本の総発電量に占める再エネ比率は2019年現在で19.2%だが、そのうち7.7%は水力で、
ほとんど増やす余地がない。2030年までに増設できるのは太陽光と風力だが、合計8.4%。
再エネを38%以上にするには、これを8年で30%と3倍以上にしなければならない。
 しかしもう適地がほとんどない。日本の平地面積あたり再エネ発電量はすでに世界一で、
メガソーラー(大型の太陽光発電所)には、各地で土砂崩れなどを心配する反対運動が
起こっている。
 そこで再エネTFは、環境影響評価などの規制をなくして再エネ開発を推進しようと
しているのだが、いくらがんばっても8年で3倍にはならない。
このままでは再エネも原発も増えないで石炭火力が減り、その穴をLNG(液化天然ガス)で
埋めるだけだろう。
 2030年までにCO2を46%削減するという国際公約は達成できず、残る分は海外から
排出枠を買ってくるしかない。結果的には数兆円の国民負担が増え、電気代は上がり、
不安定な再エネが増えると大停電が起こるだろう。
 河野氏は、次の内閣改造で「重要ポスト」で処遇されるという。内閣支持率が3割を切り、
与党の過半数割れの危機も懸念される菅首相としては、国民的人気のある河野氏と
小泉進次郎氏を2枚看板にして選挙を乗り切りたいところだろう。

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やばいやばい。総裁候補は地雷だらけ