ウイグル問題の文書流出、習氏の強い関与裏付け
中国によるウイグル族への人権侵害疑惑を巡り、習近平国家主席が先頭に立って弾圧を指示していたことを示す新たな証拠が浮上
2021 年 12 月 1 日 10:18 JST
https://jp.wsj.com/articles/leaked-documents-detail-xi-jinpings-extensive-role-in-xinjiang-crackdown-11638321421

 中国による少数民族ウイグル族への人権侵害疑惑を巡り、
習近平国家主席が先頭に立って弾圧を指示していたことを示す新たな証拠が浮上した。
英国を拠点とする非政府組織「ウイグル・トリビューナル」が
中国政府の流出文書の写しをウェブサイトに掲載した。

 その文書は、新疆ウイグル自治区の動向を巡り、2014〜17年に習氏や共産党幹部が
非公開で行った演説の内容などが含まれ、一部は最高機密扱いとなっている。
ウイグルへの強制的な同化政策はこの時期に策定・導入された。

 それによると、習氏は少数民族に関して宗教の影響や失業問題の危険性について
警告しており、新疆の支配を維持する上で、
主流派である漢民族と少数民族の「人口割合」の重要性を強調している。

 ウイグル・トリビューナルはロンドンで、ウイグル族に対する人権侵害の疑いについて
審問を開催している。

 米ミネソタ在住の中国民族政策専門家、エイドリアン・ゼンツ氏は、
ウイグル・トリビューナルから文書の真偽を調べるよう依頼され、
他2人の協力者とともに鑑識を行った。

 ゼンツ氏によると、今回の文書はニューヨーク・タイムズ紙(NYT)が
2019年に報じた流出文書では明らかにされなかった一部とみられる。
NYTは十数ページの内容について報じたが、完全な文書ではなかった。
同氏は、NYTの報道について習氏がウイグルの同化政策の策定に直接関与していたことを
示していたが、完全な文書で真相は一段と明らかになると述べている。

 「残虐行為の細部に与えた習の個人的な影響力は、われわれの認識をはるかに超える」
とゼンツ氏は話す。

 中国外務省はうわさを流布しているとしてゼンツ氏とウイグル・トリビューナルを
批判。「反中派の道化師がいかなるパフォーマンスを繰り広げようとも、
新疆はさらなる発展を遂げるばかりだ」とコメントした。
ウイグル・トリビューナルの審問は法的な根拠を欠くとした。