ウリが思うに今回のウクライナ戦争でのロシア軍のグダグダっぷりは、冷戦崩壊から30年余り経ってロシア軍部内に大規模な正規戦の
ノウハウや作戦計画を有する人材が失われた事が原因では・・ と思うのですが。

かっての冷戦華やかりしころのソ連軍は、欧州での全面正規戦を念頭に置き、その為に研究と演習を重ね膨大なリソースを費やしましたが、
1991年のソ連崩壊とその後の経済難で西側との全面戦争を行う余裕は無くなりました。

それから80年代のアフガン戦争と90年代のチェチェン紛争などで、ソ連軍上層部では冷戦期に西側相手の正規戦を研究していた連中より、
アフガンやチェチェンで凄惨なゲリラ戦を経験した実戦派の対ゲリラ屋が幅を利かせるようになったそうです。

その流れが変わるのは2008年のグルジアに於ける南オセアチア紛争で、小規模とは言え鮮やかな正規戦で瞬く間にグルジア軍を叩き出して
完全勝利を収めてからでした。

これでロシア軍は久方ぶりに「勝ちの味」を知り自信を取り戻し、等閑視されていた西側相手正規戦の研究も再開されますが、グルジアにしろ
その後のクリミアやドネツク・ルガンスクでの紛争にしろ、比較的小規模な戦闘でしかありませんでした。

ウクライナ戦域での鮮やかな戦勝に驕ったプーチンは、更なる全面戦争でウクライナを短期間で制圧し、その先の旧ソ連邦諸国も圧迫して
かっての勢力圏を取り戻そうとしたのでしょう。

しかし冷戦崩壊から30年も経つと、ソ連軍中枢部には地上軍の大半を動員するような全面戦争の十分な研究を行った高級士官もおらず、
大軍を支える後方支援体制も長年の軍縮でスカスカになっていた事をプーチンは理解も把握もしていなかったのでしょう。