次はカザフスタンとベラルーシだぞ

ロシアの国会議員も同意見だ。特に近年は、ロシアがカザフスタン北部を領有することを正当化しようとする傾向が目立つ。
ロシア議会教育科学委員会の委員長は最近、カザフスタン北部はロシア人が植民地化するまで、ほぼ「無人地帯」だったと述べた。別の議員は、カザフスタンはロシアの土地を「借りている」だけだと主張した。

では果たしてカザフスタンは、旧ソ連から独立した国家の領土をロシアが改めて制圧するという「ウクライナ型」の分裂パターンをたどるのか。
ロシアはカザフスタン北部を占領することで、あえて世界を挑発するつもりなのか。

カザフスタンが主権国家だという前提は、指導層が危機を打開するためにロシア軍部隊を招き入れたことから、ほぼ一夜で崩れ去った。

モスクワでは、プロパガンダを広める者たちが後に続いた。ロシアのニュース専門テレビ局RTのマルガリータ・シモニャン編集長は、すぐにカザフスタン当局への要求リストを発表。
ロシアのクリミア領有を認め、キリル文字を維持し、ロシア語を第2公用語に昇格させるという内容だ。

カザフスタンの騒乱は、ロシアが孤立しているというプーチンの懸念を強固なものにする。
そしてプーチンの「歴史的義務」に「正当」なロシア領と見なされる土地の回復が含まれるなら、カザフスタン北部がロシア領になる可能性は急激に高まる。

今のところロシア政府はトカエフと共に、政権基盤の強化と、民主化改革を求める活動や思想の鎮圧に集中しているようだ。
しかし、わずか数日でカザフスタンの状況が急転したことを考えれば、過去に除外された可能性が突如として復活することもあり得る。

ナザルバエフの遺産は瞬時に崩壊し、死者は増え、ロシア軍部隊がなだれ込んだ。カザフスタンが見た目だけでも保ってきた安定は、突如として危機を迎えている。

From Foreign Policy Magazine

ケーシー・ミシェル(ジャーナリスト)

https://news.yahoo.co.jp/articles/c35e1ebc18b11270879333c49b661e3972ce66af?page=2