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「街の一部はロシア兵に支配されていたから、マリウポリを離れる手段は1つしか残されていなかった。そこで、ロシア兵が私たちを移送し、ロシアに送られた」

ロシア軍が支配する地域を通過する際、ウクライナ市民は繰り返し尋問を受け、ロシア軍が戦闘員を捜索していたため、男性は衣服を脱ぐことを求められたという。

3月23日には、ビルメイヤーさんはロシア領に移され、タガンログ駅に連れて行かれた。

「タガンログでは『私たちが皆さんを救った』『食事を出してあげる』など、きれいごとをたくさん聞かされた」とビルメイヤーさん。
「列車ごとに行き先が違うのは明らかだった」

電話を使えるようになると、ビルメイヤーさんはアゾフ海を挟んでウクライナ東部と向かい合うロシアのクラスノダール地方にいる叔母に連絡した。叔母はビルメイヤーさん一家を迎えに来てくれた。

だが、叔母の家に落ち着いたビルメイヤーさんは、外出をちゅうちょするようになったという。見知らぬ人から「ロシアによる空爆を招いたのは、ロシア語話者を攻撃するウクライナの責任だ」と言われるのにウンザリしたからだ。ロシア人の多くは、ロシアのメディアが増幅する「紛争における民間人の犠牲者は、ロシア政府の信用を損なおうとするウクライナ軍によるものだ」という政府の見解を繰り返すだけだった、と彼女は言う。

ビルメイヤーさんはまもなく夫・子どもたちとともにジョージアに逃れた。