ウクライナ侵攻97日目の戦況レポート

・モスクワがセベロドネツクとドンバスの占領に集中しているため、ウクライナの要衝であるヘルソン州ではロシアにとって脆弱な状況が続いており、ウクライナの反攻が続いている。

・ヘルソン州はウクライナで唯一、ロシア軍がドニプロ川西岸に陣取る地域であるため、重要な地形である。

・もしロシアが戦闘停止時にへルソンに強固な陣地を保持できれば、将来の侵攻を開始する上で非常に有利な立場に立つことができる。

・一方、ウクライナがヘルソンを奪還すれば、ウクライナは将来のロシアの攻撃から自国を守るために非常に強い立場に立つことになる。

・このような戦略的計算から、本来ならロシアはヘルソンを保持するために十分な戦闘力を配分するはずである。

・しかし、プーチン・ロシア大統領は、ウクライナ東部の占領という象徴的な利益を得るために、かき集めることのできるすべての戦力と資源を集中させ、必死で血まみれになることを選択したのである。

・ウクライナの指導者は、プーチンの誤った優先順位付けに合わせることを賢明にも避けたようだ。セベロドネツクの防衛にもっと資源を投入することもできたはずで、それをしなかったことが批判を浴びた。

・ウクライナ軍は現在、最後まで戦うよりもセベロドネツクから撤退しているようだが、これはロシア軍が本格的な攻撃を開始してから比較的早くこの都市に移動できた要因だ。

・セベロドネツク防衛への資源投入を回避し撤退するという決定は、痛みを伴いながらも戦略上正しい判断である。

・イラク戦争やアフガニスタン戦争で欧米諸国が経験したように、志願制の職業軍人であっても、戦闘の恐怖にさらされない人々に対する戦場での当事者とその家族の恨みは増大する。

・徴兵制や不本意ながら呼び戻された予備兵に頼る部分が大きいロシアでは、さらに顕著になる可能性がある。

・このような憤りは、士気や戦意だけでなく、兵役に志願する傾向も失わせかねない。