ISW論評
https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-july-5

ロシアのウクライナ侵攻の目的は、キエフの政権交代と、ロシアの攻撃を生き延びたウクライナ国家の主権を切り捨てることにある。
ロシアの軍事的後退と、その敗北の後に戦争目的の縮小をほのめかすレトリックにもかかわらず。
ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記は7月5日、ロシアが民間人を「大量虐殺」から守り、ウクライナを「非武装化」し、
ロシアとNATOの間でウクライナを永久に中立化するという目標を達成するまでウクライナでの軍事作戦は継続すると述べた-
ほとんど正確にロシアのウラジミール・プーチン大統領が戦争を正当化する2月24日の演説で表明した目標の再表現である。
プーチンは、この作戦の目的は、市民を屈辱と大量虐殺から守り、ウクライナを非軍事化・非ナチ化し、
大量虐殺の加害者を訴追することだと述べていた。2]約5ヶ月後のプーチンの当初の目的を明確に再述したパトルシェフの言葉は、
ルハンスク州で最近得たロシアの利益が「特別作戦」の当初の目標を達成するには十分だとはクレムリンが考えないことを強く示し、
ドンバス以外の領土に大きな願望を持っているというISWの進行中の評価を支持するものである。パトルシェフの発言は、
ロシア軍の指導者がドネツクとルハンスクの爆心地以外での前進を推し進め続け、
クレムリンがウクライナのより大きな部分を奪う意図を持って長引く戦争に備えつつあることを示唆している。

パトルシェフの発言は、そのタイミングと、プーチンの側近という立場から注目される。プーチンとの関係やクレムリンでの役割を考えると、
パトルシェフが公的なコメントでプーチンの立場から大きく外れることはまずないだろう。ロシア軍がドネツク州とルハンスク州の確保と
いう限定的な目標に迫っているように見えるのに、侵攻前にプーチンが打ち出したのとほぼ同じ最大限の目標を再び表明したことは、
プーチンや他のロシア指導者がキエフ周辺での敗北を受けて新しい目標だとほのめかしていたことが、クレムリンの政策に実際の変化
を反映していないことを強く示唆している。パトルシェフの発言は、たとえそれがウクライナに受け入れられ、西側諸国にとって
望ましいものであったとしても(いずれもそうではないが)、何らかの妥協的停戦、あるいはロシアの領土追加獲得に基づく和平が
可能だと示唆する人々の負担を著しく増大させるものであった。