二分間憎悪(Two Minutes Hate)とは、ジョージ・オーウェルの
ディストピア小説『1984年』に登場する架空の行事。
作中の専制国家オセアニアの党員たちは毎日仕事を中断してホールに集まり、
大きなテレスクリーンの前で、党と人民の敵
(特にエマニュエル・ゴールドスタインとその一味ら)が登場する映像を見せられ、
画面上の敵の姿や敵の思想に対してありったけの憎悪を見せなければならない「日課」である。

オーウェルが描くような「儀式」は、この小説が書かれた時期の直前まで行われていた
第二次世界大戦のプロパガンダ映画上映における敵への軽蔑や憎悪、
あるいは独裁国家での指導者への個人崇拝などさまざまなものが反映している。
「二分間憎悪」という用語もオーウェルの発明によるものでなく
第一次世界大戦時の表現に由来している。当時のイギリスの風刺家たちは、
ドイツで行われているイギリス国家に対する憎悪や
すべてのイギリス的なものに対する憎悪のキャンペーンに対し、
プロイセンの家庭ではみんなが食卓を囲んで「日課の憎悪」[2]をしているのだろうと想像している。
さらに、双方の砲兵が短時間の砲撃を日課のように行って敵の作業を妨害することも
「二分間の憎悪」(two minutes' hate)と呼ばれていた。