>>349

 大半のケースにおいて、ロシア産原油を売買すること自体は合法だ。米国やEUは、
制裁対象国以外への輸出代金の決済を滞らせないよう、金融システムに対する
対ロ制裁措置を設計。エネルギー価格のさらなる高騰を避けるようにも留意されている。

 ところが、銀行や資源商社大手といった西側企業の多くは、
法律が求める以上の措置に踏み込み、ロシア産石油の扱いを減らすか、打ち切った。
その結果、グレンコアやガンバーなど大手商社が手を引いたロシア産石油を、
より小規模な商社が代わって扱うようになった。

 商社関係者や業界幹部によると、これらの小規模な会社は、
ロシア国営石油大手ロスネフチに対してEUが当初科していた制裁を回避するため、
ドバイやシンガポールに担当者を配置した。

 ロシアはこうした迂回(うかい)策を隠すため、石油生産など月次データの公表を停止。
ロシアの石油関連活動を見極めることが難しくなった。ロシアの輸出関連文書は、
相手先の国や出荷元に関する詳細を明かしていないことが多いと商社関係者は話す。

 海上では仲介業者が積み荷を移し替える「瀬取り」を行っている。
これは原産地を偽造するとともに、バルト海沿いのロシア港湾には入れないような
大型タンカー船を満載にするためのコストのかかる手段だ。商社関係者によると、
制裁違反や評判低下を恐れる金融機関が資金や保険を引き揚げないよう
確実にするために行われている可能性が高いとみられている。