ロシア軍はこの戦争を通じて、大隊戦術集団に始まり、志願連隊、BARS(国家戦闘予備軍)部隊、
ドネツクおよびルハンスク人民共和国(それぞれDNRとLNR)に属する民兵部隊、さらには
ワグネル民間軍事会社(PMC)の受刑者の編成を含む様々な非標準・非教理的構造で展開した。
教義的構造への回帰は、ロシアの勢力図と作戦設計の変遷を意味する。
ISW が以前に評価したように、ロシア国防省(MoD)は現在、ロシア軍を正式なものとし て専門化し、
通常軍としてウクライナで長期戦を戦う準備をするために、多くの改革に取り組んでいる。
ルハンスク州の前線に沿って現在配置されている部隊は、ロシア軍の手順において、ロシア国防省の
確立に 向けて進行中のシフトを反映していると思われる。

ロシアは、軍事作戦の正常化から受ける恩恵は、軍の状態がひどく悪化しているため、
期待していたほどにはない。ISW が繰り返し観察してきたように、動員された予備兵を大規模な
攻撃的機械化機動戦 を支援するのに十分な水準まで訓練する時間はなかったし、
再編成された部隊を整備 するのに必要な装備も明らかに不足している。ルハンスク州を軸に攻撃している
第3・144機動小銃師団のまとまりは、攻撃開始以来、相対的にほとんど進展していないのである。

戦車連隊や旅団が再建されていないため、ロシア地上軍は作戦上重要な突破口を開き、
それを活用するために必要なパンチ力を失っている。