案の定、実戦で魚雷1本が命中した上部装甲が押し込まれ、裏側防水板がなかった三番主砲火薬庫に3,000トン浸水した
船体傾斜はほとんどなかったと喧伝されるが、主砲の戦闘力は大幅減少した

実験では少量と見込んだ浸水量が3,000トンもあったことに造船官は驚いたが今更できる対策は限られており、防水板を未設置箇所に追加したにとどまり、武蔵では未対策に終わる

実戦では魚雷命中での押し込まれだったため水雷防御の話に矮小化されることが多いが、砲戦でも普通に起こり得ることに注意(建造中の命中試験は、砲弾命中による押し込まれ)

また、武蔵の海底調査では下部舷側装甲が受け材から外れて丸ごと脱落していることが確認されており、水深的に魚雷が命中しやすい下部舷側装甲の押し込まれによる継手破壊からの浸水も実戦で発生していたものと推測される
(というか、上部装甲が現に魚雷で押し込まれており、それ以上押し込まれに弱い下部装甲が押し込まれないとする理由が無い)

大和型では上下装甲の傾斜を変えてくの字接合にしたことが大きな原因だが、上部装甲の20度傾斜のまま下部までツライチにすると機関部容積が不足するために、下部の傾斜を緩めて内部スペースを確保したものと推測される
くの字部分の背後は機関部という空間なので、結合部を裏から支える構造が作れずに受け材同士の結合にならざるを得なかった
その意味、旧式と揶揄されるビスマルク式は舷側装甲の下部を水平装甲と結合しておりまだマシと言える