八九式短銃
いわゆる拳銃弾ライフル、動作機構はシンプルブローバック半自動でトリガー前方に10発または5発入箱弾倉
元々民間用であり、軽さが売りでモデルによっては空弾倉込でわずか1.5kgだった
このカラクリは使用弾にあり、.32ACP、.25ACP、.22LRと軒並み低威力弾ばかり
そのため銃床が交換前提で杉、桐などおよそ銃砲には使われない材料で出来ており、銃身も細いものだった

ある士官が任官に際して、大枚払って新調した私物の拳銃を壊してしまい、ドサクサに紛れて実家にあったこの銃を「拳銃である」と称して持ち込んだ
その態度があまりにも堂々としていたため通ってしまったのだというが、彼はその後当然の如くこの「拳銃」を持ち歩かねばならなかった
それだけならば珍談で済んでしまったところ、支那戦線に出動した際偶然手柄を立ててしまい、この「拳銃」を持った姿が報道されてしまった
(「拳銃」で敵兵を数人射サツしたのも拍車をかけることになった)

その後、「これほど軽量ならば士官や砲兵の自衛火器として拳銃よりよほど使える」という噂が広がり
無いに等しい銃床の耐久性を増すため赤松材で作られたものがなんと軍用として採用されてしまった
流石に拳銃とは言えず、「短銃」という曖昧な名称にされているが、全長700mmほどの立派なライフルである
採用はされたものの、やはり長くて取り回しに劣る点が嫌われ大した数は作られなかった