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「生命線」の温泉供給施設が老朽化 巨額改修費で揺れる飯坂温泉
荒海謙一2023年12月21日 11時00分
ttps://www.asahi.com/articles/ASRDN7KZ0RDNUGTB001.html?iref=pc_preftop_fukushima
老朽化した温泉供給施設の改修を巡り、福島市の飯坂温泉が揺れている。温泉街の存続にも関わりかねず、
多額の改修費用をどう工面するかという問題に直面しているからだ。
改修費用捻出のため、市は旅館などが支払う温泉使用料の値上げ案を示したが、
経済環境の厳しさから異論も多く、着地点は見いだせていない。
温泉供給施設を管理するのは飯坂町財産区。1964年に旧飯坂町が福島市と合併した際に設置され、市が事務局を担う。
源泉からくみ上げる施設や湯を蓄える集湯槽、配分する分湯槽などを管理し、4カ所の公衆浴場も運営。
温泉使用料などの収入で、独立採算の経営を維持してきた。
しかし、施設の機械装置には耐用年数の4倍にあたる60年余を経過したものも多く、
昨年は故障で温泉が供給できなくなる事態が8回も発生した。源泉からのくみ上げは、主に圧縮空気の圧力が利用されているが、
圧縮空気をつくるコンプレッサーも古くなり、故障部品の調達も困難になっているという。
市は、くみ上げ方式をコンプレッサーが不要な水中ポンプに切り替え、
集湯槽や分湯槽の改築なども行う費用を約2億5千万円と試算したが、財産区には厳しい。
全盛期には100軒を超した旅館・ホテルも今は約40軒になった。年間の温泉使用料の収入は10年前より700万円も減って約7千万円。
1200万円ほどの黒字ではあるものの、公衆浴場は利用者の減少で850万円の赤字が続く。このため、財産区の繰越金は1億円にとどまっている。

【つづく】