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ロシア領侵入、ウクライナ軍上層部が賭けに出た理由

ゼレンスキー大統領にとって好都合な当座のニュースサイクルの先に目を向ければ、他の目的が見えてくる。
この戦争で初めて、協議の観測が出ているのだ。
ウクライナや支援国が開催する次回の和平会合には、ロシアも招待される可能性がある。
交渉に賛成するウクライナ人は少数派だが、その割合はわずかに増えている。
米国でのトランプ政権誕生の可能性もウクライナ政府に重くのしかかる。
米国のハリス副大統領はバイデン大統領と同様、ウクライナを巡り断固たる姿勢を貫くかもしれない。
ただ、西側の外交政策が気まぐれで、簡単に息切れするものだということは覚えておくべきだろう。
北大西洋条約機構(NATO)の根強いウクライナ支援は例外だ。戦争が4年目に向かう中、今後は終戦の仕方を問う声が強まるだろう。
ロシアから占領地を奪還する現実的な見通しがないままウクライナ軍が戦い、死んでいくことに、本当にメリットがあるのだろうか。
ロシアは果たして、数百メートル前進するごとに数千人を失うような前進を無限に続け、自国の軍事力がウクライナの長距離攻撃によって徐々にむしばまれるのを望んでいるのだろうか。
交渉による解決の見通しが以前ほど遠くなくなる中、両国は協議の席に着く前に少しでも戦況を改善させようと、躍起になるとみられる。
ウクライナによるクルスク州侵入の動機がそこにあるのか、単に敵の手薄な場所に損害を与えるためなのかは分からない。

ただ、ウクライナの限られた資源を投じた異例の大ギャンブルであることは間違いなく、今後さらに大きな変化が待ち受けているというウクライナ側の見方を告げている可能性もある。

本稿はCNNのニック・ペイトン・ウォルシュ記者の分析記事です。