同時に、ドンバスやハリコフの前線において、ロシア軍が前進を続けていることは、ロシア軍のクルスクへの増援は前線に展開する部隊の予備員のみであり、前線のロシア軍の部隊は維持されていることを示している。
クルスク攻勢の期間はいつまで続くだろうか? 予想では秋の雨まで。雨は森林に置かれたウクライナ軍の拠点に更なる消耗を強いることになり、緑から森林は葉を落とし始める。更なる戦況の優位が確保できる場合、ロシア軍はそれまでの期間、積極的な掃討よりも積極的な防衛を優先する可能性が高い。しかし、ウクライナ軍が後退する、または雨が本格的になる前にすべてを賭けて突破を図り、阻止された場合には、もっと早く掃討戦に移行する。
原子力発電を巡る言説。クルスク攻勢は原子力発電への到達が目的であるという予測が、突破を阻止された後に異なるバリエーションを生み、ザポロジエ原子力発電所への攻撃前の陽動であるとの言説がネットで広まったのは注目に値する。その後、ウクライナは無人機によってZNPPの冷却塔を攻撃したが、これは本格的なZNPP攻撃を諦めた兆候だろうか。直近の無人機による送電線の破壊の試みが、より実用的な電源喪失への破壊行為であるのに対して、冷却塔の破壊は、西側のSNSと大手メディアが映像で表現するためのデモンストレーションに過ぎない。実際、この映像は多くの情報機関によって拡散された。キエフ政権とNATOにとっては、発電所の破壊は恒久的にウクライナ国内の電力を得られなくなり、同様の規模の原子力発電所を建設することがロシアの協力なしには不可能であるという事実と、ザポロジエ原子力発電所を破壊し、偽旗工作を行うことは、離れていく欧州の世論を再びウクライナ支援へ転換させる唯一の手段であるという事実によって、剃刀の上に乗っている。