航空万能論コメント欄より

本来なら軍事板でもこういう投稿を読みたいもの


ねじまわし
2024年 8月 20日
昔から後退するロシア軍には気をつけろと言われている。ロシアほど懐の深い国だと侵攻軍は侵攻すればするほど補給線も伸びて先細りになるのだけど、どれほど攻め込まれてもロシアは無傷の後方で予備兵力を収集蓄積する空間的時間的な余裕があるから、侵攻軍が攻撃限界に達したところで反撃を開始できる。カール12世やナポレオン、ヒトラーはそれで敗退した。日本は攻撃限界に達して反撃が開始される前のタイミングで停戦に持ち込めたので勝利の形を作ることができた。

してみるとロシアの強さは軍の強さと言うより、この懐の深さに依っているのかもしれない。と考えると、ロシアがウクライナ戦争を侵攻戦ではなく防衛戦と考え、そこから継戦のモチベーションを得ているのが見えてくるような気がする。

近代以来ロシアにとって元寇クラスの国難が三度あった。カール12世、ナポレオン、ヒトラー。いずれも国境からモスクワを目指しロシアの懐の深さによって敗退した。歴史上で同じパターンが三度も繰り返されると、そこから国の安全保障の原則が導かれるに違いない。つまり西側の攻撃発起点を可能な限りモスクワから引き離し、懐の深さを確保すること。ウクライナのNATO加盟を阻止することは、ロシアにとっては国の安全保障上の切実な、妥協のできない問題なのだと思う。

さらに言えばロシアの強弱は、だから、侵攻軍にどれほど押し込まれても動揺しないほど政権が安定しているかどうかによって決まるのだろうな。ピョートルとアレクサンドル、スターリンはそれができた。ニコライはできなかった。プーチンはどうだろう。

あるいはゼレンスキーはロシア国内に侵攻することで、日露戦争の日本と同様プーチン政権の動揺を誘い、(たぶんアメリカに仲介を頼み)主体的に停戦に持ち込むことを考えているのかもしれない。西側メディアにもそのような観測が散見される。でもロシアがこの戦争を、西側が定義するような侵攻戦ではなく防衛戦(あるいはNATOに対する防衛戦の予備戦争)ととらえているのならば、その試みは難しいかもしれない。プーチンは停戦の可能性を早々とシャットアウトしたようだし。

今後のことは分からないけど。