>>581
和歌李真下

しかし「ハマスが国際法を守らないなら潰せばいい。イスラエルは国際法を守っていると言っている」という主張は、戦略的・論理的に破綻していませんか?

すでに指摘したとおりハマスのような非国家主体は国際法による拘束を受けにくく、たとえ「潰した」としても、封鎖、主権剥奪、継続的軍事圧力といった構造的インセンティブが温存されている限り、新たな武装主体が必然的に再生産されるというゲーム構造に変化はありません。

つまり「潰す」という行為はプレイヤーを入れ替えるだけで、ゲームのルールを何一つ変えない。
それどころか、潰す過程で民間人の犠牲を拡大すれば、構造的な憎悪と報復の動機を強化する結果をもたらします。
これは明確に長期的戦略として失敗が約束された非合理的行動といえます。

現に、イスラエルは過去に同じ過ちを繰り返してきたのではありませんか?
PLOに対しても「潰せば終わる」として軍事圧力をかけ続けましたが、完全には潰せず、むしろその過程でハマスのようなより急進的な武装勢力が台頭する土壌を自ら育ててきました。
つまり、「武力で潰す→代替勢力の登場→より状況悪化」という負のスパイラルが現実に繰り返されてきたのではないですか?

また、「イスラエルは国際法を守っている」とする主張も、自己申告に過ぎないのではありませんか?
病院や学校への攻撃、人道支援の妨害といった行為は、国連、各国政府、国際刑事裁判所から再三にわたり非難されており、形式上の「遵守」と実質的な違反の乖離は明白です。
国家である以上、「守っている」と主張するだけでは正統性は維持できず、国際的な監視と評価の下で振る舞うことこそが国家主体の合理的行動です。

結局のところ、「潰せば解決する」「自分たちは正しい」という発想は、ゲーム理論的にも歴史的にも破綻してきたことが繰り返し証明されているのではありませんか?
それにもかかわらず同じパターンに陥っていること自体が、イスラエルの戦略的失敗を如実に物語っています。

今起きている惨状こそが、その帰結ではないのですか?