【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】前回のトランプ政権との日米貿易交渉の失敗に学べるか(3)
2025年5月15日
https://www.jacom.or.jp/column/2025/05/250515-81647.php
一般に言われている「日本=過保護で衰退、欧米=競争で発展」というのは、むしろ逆である。
(略)
 早くに関税撤廃したトウモロコシ、大豆の自給率が、0%、7%であることを直視する必要がある。

誤解@ 世界で最も高関税で守られた閉鎖市場→OECDデータによれば、日本の農産物関税率は11.7%で多くの農産物輸出国の1/2〜1/4である。こんにゃくが1,700%ばかり強調して高いというのは間違い。野菜の関税率は3%程度がほとんどで、極めて低い関税の農産物が9割も占めるのは日本だけだ。自給率37%が閉鎖市場???

誤解A 政府が価格を決めて農産物を買い取る遅れた農業保護国→価格支持政策をほぼ廃止したWTO加盟国一の哀れな「優等生」が日本で、他国は現場に必要なものは、したたかに死守している。

誤解B 農業所得が補助金漬け→日本の農家の所得のうち補助金の占める割合は3割程度なのに対して、EUの農業所得に占める補助金の割合は英仏が90%以上、スイスではほぼ100%と、日本は先進国で最も低い。