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”私はホワイトハウスの国家安全保障担当補佐官ジェイク・サリバンと1時間、電話で会談した。私は「ジェイク、戦争を回避してほしい。戦争は避けられる。アメリカが“ウクライナにまでNATOは拡大しない”といえば、それだけで戦争は防げる」と懇願した。
 彼はこう答えた。「ああ、NATOはウクライナに拡大しない。心配することはない」。
 私は「ジェイク、それを公に発表してくれ」と頼んだが、彼は「いや、公にはいえない」と答えた。「実際には起こらないことで戦争をするつもりなのか?」と尋ねると、彼は「心配するな、ジェフ。戦争にはならないから」といった。
 彼らは決して賢い人間ではない。40年間も、彼らは自分たちの間でしか話をせず、他の誰とも対話をしない。彼らがしているのは、ゲーム理論のシミュレーションだ。「非協力ゲーム理論」では、相手と交渉せずに独自の戦略を決める。これがこの理論の本質だ。交渉理論でも平和構築理論でもない。ただの一方的な非協力的戦略なのだ”
”当時、ちょうど妻とスキーに行こうとしていた私は、凍える寒さのなかで、サリバンとの長く苛立たしい電話に付き合わされた。
 「ああ、戦争にはならないよ、ジェフ」――その翌月、何が起こったかは周知の通りだ。バイデン政権はロシアとの交渉を拒否した”