重要な対ドローン砲がなぜ高額なのか
https://www.forbes.com/sites/davidhambling/2025/09/10/why-some-anti-drone-artillery-comes-at-a-sky-high-price/

. 旧式装備「ゲパルト(Gepard)」の再評価
現場指揮官曰く「対シャヘド三大兵器はゲパルト、ゲパルト、そしてゲパルト」。

. 後継機「スカイレンジャー(Skyranger)」の高コスト問題
ツイン30mmレーダー誘導砲塔で、1基約 ,200万ドル。ドイツ政府は約500基の導入を計画(総額約60億ドル)。
さらに車体(例:Boxer装甲車)を含めると、1両あたり 3,600万ドル規模。 性能は高いが、価格があまりにも高騰している。

. 比較対象:ウクライナ製「スカイ・センチネル(Sky Sentinel)」
ウクライナは独自に開発した低コスト型防空システム「Sky Sentinel」を実戦配備。 .50口径機関銃2門を搭載したトレーラー型、カメラとAIで目標追尾。
1基あたり 10万ドル程度(スカイレンジャーの100分の1)。
弾薬コストも大幅に安い:
35 mm弾(Gepard用)=1発600ドル 新型AHEAD弾(Skyranger用)=1発1,000ドル超 50口径弾=1発 約2.7 ドル
威力・射程は劣るが、安価で大量配備可能。弾薬枯渇の心配も少ない。

. なぜ欧州兵器は高すぎるのか
RUSI(英国王立防衛安全保障研究所)のJack Watling博士の分析によると:
設計思想の違い:Skyrangerは機動戦(遠征軍運用)を想定、Sky Sentinelは本土防衛用。
制度的コスト:規制、品質保証、労務費、官僚的手続きなどが積み重なって高騰。
市場構造:欧州メーカーは発注継続の保証がなく、短期で利益を確保しようとする傾向。
単純な利益追求:需要が高く競争が少ないため、「出せるだけの値をつけている」状態。 Watling「欧州の防衛装備は、ほぼ例外なく過剰に高い」

. 政治的要因
ドイツ政府は防衛産業基盤の強化を重視しており、Rheinmetallからの購入は「国内雇用と技術維持」の観点で政治的に合理化される。
高額であっても「国産・即応可能・信頼性が高い」装備を選ぶ傾向。
一方で、ウクライナのように「今夜の空を守る」即時性が求められる戦時環境では、安価で数を揃える方が理にかなう。
戦争が本格化すれば、ドイツでも「高性能少数精鋭」から「安価大量配備」への転換を迫られる可能性。