日経エレクトロニクスの記者であった私は、その少し前から「液晶パネルの価格が近い将来、大暴落するのでは」との疑念を抱くようになっていた。

けれど、業界内外のどこを取材してもそのような話は出てこない。誰もが「そんなことはあり得ない」と笑うのである。

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090115/164093/?P=7



新たなデータも得て自信を深め、その見解を日経エレクトロニクスの1994年7月4日号の特集として執筆した。

改めてバックナンバーを探してみると、表紙には「カラーTFT液晶が供給過剰へ」、

第1部には「1995年、供給能力の急上昇で価格崩壊が始まる」とのタイトルが。

当時、積極投資を表明して鼻息の荒かったメーカーに、冷や水を浴びせ掛けるかのような内容である。



その記事は、多くの一般読者の方からは高く評価していただいたし、予測の正しさも間もなくメーカーの業績悪化という結果を伴って証明された。

それでよかったといえばよかったのだが、読者の中でも液晶パネル・メーカーに勤務する方、さらには取材先の方からは猛烈な反発を浴びた。

質問状という名の長文の抗議文もいただいたし、「業界の発展を阻害する最低の記事」と露骨に言われもした。