https://sibkoto.org/articles/detail/2

「家族だから」を壊したい

Sibkoto運営者の1人であり、知的障害者の兄を持つ白井俊行さん。
家族だからといって助ける必要はないと言う白井さんはどういう体験を経てその思いに至ったのでしょうか。
その経験とSibkotoへの思いをインタビューしました。

 兄の知的水準は小学校低学年程度で日本語は通じるし、
足し算引き算くらいはできました。もちろん人をからかったり、
イタズラもできましたよ。私もそのターゲットになりました。
家で宿題をやっていれば「まだそんな問題やってるなんて幼稚だ、バーカ」
とか言われたりして。まぁ、その問題を兄は解けないんですけどね。
だから余計に頭にきてずっと喧嘩をしていました。
知的障害があるといっても人を泣かせて喜びを感じる、
そんなことはできたみたいです。
 てんかんの発作は少し怖かったですね。
発作が起きると、突然全身の筋肉が硬直して意識不明の状態で倒れる。
それが食事中だと勢い良く机や食器に頭を打つので、食器がひっくり返ったり、
グラスを割ったり、さらに失禁したり、もうメチャクチャになります。
そんな状態になったら、まず呼吸できるように口の中のものを取り除いて寝かせてから、
食器や食べ物や下着の後片付けをする。それを母と祖母がしていました。
それが日常になってしまったので、私はそれを傍目に見ながらご飯を食べきって居間に戻る。
手伝ったことはありません。手伝えと言わなかった母も凄いなと思いますが、
なにせ、兄が大嫌いでしたから。

溺愛する母、殴る父

 母は兄を溺愛していました。
何かにつけて「お兄ちゃんは大人になってもずっと私のもの」と言っていましたし、
やっぱり態度でわかります。そんな母でも辛そうなときはありました。
食事中の発作や失禁の介助をしているとき。居間でしたオナニーの後片付けをしているとき。
てんかんの薬をどうしても飲み込めないで1時間も口に含み続ける兄を泣きながら叩いているとき。
あれだけ溺愛している母でさえ苦労を重ねてなんとかやっている状態なのに、自分に介助が出来るわけない!とずっと思っています。今もです。




幸不幸はともかく、少なくともこんな目には遇いたくない。
こんな家族はいらない。