障害者の再犯防止模索 社会復帰地域支援少なく 

 9年前、3歳の男児を歩道橋から投げ落として重傷を負わせ、実刑判決を受けた知的障害のある男性(51)が3月、
別の傷害事件を起こして再び逮捕、起訴された。
犯罪を繰り返す「累犯障害者」の再犯をどう防ぐか。福祉施設や地域に、重い課題が突きつけられている。(杉山弥生子)

 大阪地裁102号法廷で4日、男性の公判が開かれていた。
 証言台の前に、17年前から男性が過ごしてきた障害者福祉施設の理事長(69)が立った。
今後、再び男性を迎える覚悟だと言う。

 「被告が地域で生活するのは無理と思わないか」。弁護人に問われ、理事長は「適切な支援があれば、やっていけると思います」と語気を強めた。
男性はうつむいて、その言葉に聴き入っていた。

 男性は軽度の知的障害者で、ストレスをため込むとカッとなって問題行動を起こす特性がある。
2007年、駅の歩道橋上で、施設で作ったクッキーを販売中、男児を投げ落とし、実刑判決を受けて服役した。

 13年3月に出所後、男性は同じ施設に戻った。しかし3年後の今年3月、バスの車内で80歳代の女性客の首を絞め、ほかの客に取り押さえられた。
女性客は軽いけがを負った。

 この施設は、大阪府東部の住宅街の一角にある。

 訪ねると、知的障害や精神障害のある20〜50歳代くらいの男女約30人がクッキー作りなどをしていた。みな笑顔で作業に励んでいる。
男性もここに通い、クッキーを作っていたという。

 施設は、出所した男性と、▽一人で外出しない▽小さい子を避ける▽困ったことがあれば相談する――など七つの「約束」をしたという。
職員が常に付き添い、近くのグループホームで寝食もともにしてきた。

 理事長が「振り返りノート」と題された帳面を見せてくれた。出所後、施設が男性に毎晩、その日の出来事や感じたことを書いてもらっていた日記だ。
これを読んで感情の落ち込みを感じた職員がゆっくり話を聞き、心を落ち着かせたこともあるという。

 今回の事件の前も、ノートに兆候はあった。〈嫌な気持ちになりました〉〈気分がよくありませんでした〉。
男性はささいなことで職員に注意され、こう記していたのだ。

 ノートを読んだ担当職員から連絡を受けた理事長は翌日、男性に電話をかけた。
しかし、落ち着いた様子に「大丈夫」と思い、直接会うまではしなかった。
男性がホームを抜け出し、事件を起こしたのは、その翌日のことだった。

 「私のミス。彼の気持ちをもう少し読み取っていれば……。被害者の方には本当に申し訳ありません」。理事長は肩を落とした。

 出所者の社会復帰支援は<出口支援>と呼ばれ、都道府県が設置する「地域

以下略

http://www.yomiuri.co.jp/osaka/feature/CO023571/20161016-OYTAT50002.html

こんなのばかり。