自ら髪を抜いた娘、気づけなかった母 3カ月は長かった

休校が続いていた5月のある夜。宮城県内の40代のシングルマザーは、夕食の準備に忙しかった。小学6年の娘がそばへ寄ってきた。その日、久々の登校日だった。「友達にばれた」と娘。何が?

 「髪の毛のこと」

 何を言っているのかわからなかった。照明の下に連れて行き、まじまじと見て息をのんだ。娘のつむじの横の毛が全くなくなって、白い地肌が見えていた。大きさは500円玉大。周囲の髪も、途中からちぎれてぼさぼさになっていた。

 「どうして」と大声を出しかけて、飲み込んだ。「何があったのか言ってみて」。声を抑えて聞いた。

 「3月中旬ごろから、気づくと抜いていた。休校中、家から出られなくて、友達に会えなくて、寂しくて。ここまでになってるとは思わなかったけどね」。娘は苦笑いを浮かべた。

 ストレスによる自傷だ。何で今まで気づかなかったんだろう。

 娘は学校が大好きだ。毎朝午前5時半に起き、7時過ぎには家を飛び出す。4月から最高学年だ。「新入生の世話ができる」と楽しみにしていた。

 だが、休校が始まった。感染させないため、外出禁止を言い渡した。娘は愚直に守った。学校からもらったドリルをやってしまうと、あとはパソコンでずっと動画を見ていた。スマホは持たせていない。ネットで連絡が取れる友達はいない。親の自分はフルタイムで働くため、昼間相手ができない。きょうだいは年が離れている。


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