” 中村太地君といえば、この欄でも書いたが三月の末にふぐを御馳走したのだった。
もうすぐ棋聖になるかもしれないから、あの時御馳走しといてよかった。
まあ太地君と私ほど年齢が離れていると、タイトルのひとつやふたつくらいじゃ
私が払うことになるかもしれないけれど。

 私は若者のことを好青年と安易にいわないクチであるが、太地君は文字通りの
好青年である。見るからに育ちが良さそうで、素直にすくすく生きて来たような
雰囲気がある。その感じが、以前は盤上でひ弱さとなって表れることもあったが、
ここ一、二年でぐんと逞しくなった。将棋が大人になった感じだ。

 いずれにせよ、将来の将棋界を担うべき大器が大舞台に初見参するわけで、個人的にも
おおいに注目している。勝ったら、夏にはもでもオゴってもらおうかと思っている。
あれ? 前に書いたことと違うぞ。まあいい、どっちが払うかなんてどうでもいいじゃないか。
大事なのは、うまい酒を飲むことと、そのために日々精進することである。”


先崎は早く元気になって太地王座にハモをおごってもらわなきゃな