では20代の羽生が最強だったのかというと早計は禁物だ
羽生の20代には全盛期の中原も大山もいなかったからだ
20代までの成績は大山(47歳差)と5-3、米長(27歳差)と13-10、中原(23歳差)と13-8と圧倒的に対局が少ない
しかもこれだけ年齢差がありながら引き離すことができていない
当然、8歳下の渡辺との対局もなかった
つまり、勝率がよかったのは回りに対局を重ねるようなライバルがいなかったことが幸いしている
棋譜の内容から棋力を推定してみても、勝局の悪手は今のほうが少ない
つまり、勝った将棋の内容は今のほうがよいことが分かっている

30代に入ると同年代の森内ら年下の渡辺らに肩を並べられている
森内とは30歳〜43歳までの成績が44勝47敗と負け越している
同じく、渡辺には31勝34敗と負け越している
44歳以降には巻き返して逆転できたが、今度は自分の老いとの戦いが始まった
渡辺より下の強敵には勝ち越しそうもない
こうして見ると羽生が最強の棋士と断言する自信が吹き飛ぶだろう
少なくとも大山や中原より強いとはとても言えないだろう