調査報告書の概要が示された。これを読むと、問題点がどこにあるか、よくわかる。
(人々がどう勘違いしているのかもわかる。)

 まず、毎日新聞に、画像が公開されている。
  → 将棋:ソフト使用疑惑「不正の証拠ない」 第三者委 - 毎日新聞
 ここから一致率の部分を抜き出すと、こうだ。

 @ 本件4対局における三浦棋士の指し手の一致率等の計測(各対局について一定条件の下で 10回ずつ計測)、
A 三浦棋士および本件4対局の退去者を含む連盟所続棋士 10名(タイトル保持者等を含む)が差した公式戦 35局(合計 350局)の対局における一致率等の比較分析という二つの角度から調査を実施した。
かかる調査においては、膨大な数値の処理等が発生するため、その作業を外部業者である株式会社 FRONTEO に委託した。

 このあとの記者会見を文字でまとめたものもある。
  → 三浦弘行九段の処分に関する第三者調査委員会の記者会見概要

 ここから一致率の部分を抜き出すと、こうだ。

 不正の根拠とされた一致率は、計測毎にばらつく指標である。また、一致率が高い棋譜は、技巧の公開前に三浦九段が指した対局、他の棋士の対局でも数多く認められた。これらから、一致率は不正の根拠とならない。

 このあとの質疑応答もある。
Q 一致率に関する棋士たちの評価は?

A 三浦さんよりも高い一致率を示す人はたくさんいる。一致率でソフトの不正使用を推定できると、現在も思っているプロ棋士は、相当少ないと思う。一致率では推定できないと、考えを変えたプロ棋士もいるだろうと思う。

 ──

 以上の話を読むと、調査委は「統計というものをまったく理解できていない」と結論せざるを得ない。
たしかに調査委は一致率を調査したが、まったく無意味な調査をしているだけだ。
こんな無意味な調査をしても、「黒」である証拠が出るはずがない。