『失望パウエルさんの贈り物』

10年半ぶりの利下げ。「必ずしも長期緩和サイクルの始まりを意味しない」と、パウエル議長はFOMC後の
記者会見で明言したそうである。継続的な利下げを否定したと市場が受け止め、ダウ平均は一時487ドル安
まで急落。その反応に驚いたか、その後に同議長は「私は一度きりの利下げとは言ってない」と火消し発言
を行っていたが、株価は十分に戻らず結局333ドル安での終わり。もともと材料出尽くしによる売りは覚悟
のうちだったろうが、案外な“タカ寄りパウエル”の側面が見えてしまって下げ幅が広がった格好。ま、「予
防的な利下げ」なのだから、精々あと一回というのが常識的な読みだろう。
それに文句を言うのはトランプ大統領と市場の利下げ待望派ぐらいなもの。前者は何ともしようがない(「パ
ウエルはいつもどおり私たちを失望させた」とツイートしたそうだ)が、後者には対話によって頭の中身を切
り替えてもらうしかない。そのための、難しい駆け引きが始まった、ということ。

とにかく、10年ぶりのこと、10年間の上昇相場の後だから、大変だ。CTAファンドあたりは失望売り相場を演
出しようと企んでいるらしい。下手をすると“催促相場”という厄介な展開に陥ってしまいかねない。

もっとも、米利下げ“打ち止め”観測は日本株には好要因となった。ドル円の109円台回復によって押し目を待っ
ていた人が動きだしたような印象。米国株安に連動する形で寄り付き直後に232円安まで突っ込んだ日経平均は
その後下げ幅を縮小し、前引けにはプラス水準まで浮上。米国株が安くても日本株は高かった−という明暗が大
事だろう。東証1部の売買代金は2兆2260億円と3日連続で2兆円乗せ、前日、前々日は株価指数絡みの特殊な商
いで膨らんだが、本日はそれもなし。買い方が動いてのプラス引け、と見たいのだが、どうだろう。