「片目の視力を失ったせいか残された目がひどく疲れるんだ。時々霞んで・・・俺は視力を失うのか?俺にはまだ見たいものがあるんだ・・・」
沈痛な面持ちで男の言葉を聞いていた女は、ひたと男を見据え「それはこれか?」と躊躇いなく衣服を脱ぎ捨て一糸纏わぬ裸身となり男の前に立った。
貧相な胸を両の腕で抱き、両脚はピタリと閉じられていたが、蝋燭の灯りに浮かび上がる白い裸体は、しなやかな筋肉に包まれ、
丸みを帯びた肩と引き締まった腹部、張り出した腰や腿と細い足首の対比がアンバランスで却って艶かしい。
「もっと近づいてよく見せてくれ・・・」
初めて女は躊躇いを見せたが素直に彼の言葉に従った。
男から目を逸らしていても、彼の熱い視線が体のあちこちを彷徨うのがはっきりと感じられ、頬が紅潮し身体が火照ってゆくのを止めることができない。
「綺麗だ。ただ胸が大きくて胴を蜂のように締め付けた女たちより遥かに美しい。ありがとう、俺はいつまでもこの時を思い出し幸福に包まれるだろう。
だが、俺が見たかったものは、その・・他のものだったんだ」
>>750>>751>>752>>753>>754>>755>>756>>757>>758