古いスマホみたいな超低ノード環境だとNNUEよりもKPPTやKPP_KKPTのほうが強いことがあるという情報をたまにここで見るので自分で試してみた
スマホで実験は大変なのでちょっと前のAVX2非対応(SSE4.2使用)のPCで1スレ0.1秒(KPPTで一手約1万ノード相当)で検証
超低ノード特有の終盤の読み抜け大逆転もあるのでResignValueは念のため最大値の99999(デフォルト)のままにした
探索部は全部やねうら王4.88で定跡はなし
評価関数はそれぞれの現在のSOTA(NNUE:orqha1018、KPPT:QQR、KPP_KKPT:QQRを変換したもの)を使用

結果
NNUE 152-104 KPPT R+66
KPPT 151.5-104.5 KPP_KKPT R+65
NNUE 150-106 KPP_KKPT R+60
https://i.imgur.com/2bsVhPi.png
https://i.imgur.com/hboRkYE.png
https://i.imgur.com/7OJip8y.png

強さの順番はNNUE>KPPT>KPP_KKPTで1500万ノードのいつもの計測と同じ
しかしいつものレーティング表だとNNUE(orqha1018)とKPPT(QQR)でR100以上の差があるはずなのにそこまで差が出なかった
また相性問題があるのかNNUE対KPP_KKPTでNNUEがかなり取りこぼしてレーティング上ちょっとおかしな結果に
というわけで超低ノード環境だとNNUEがそこまで強くないというのはある程度は事実かもしれないということがわかった(逆にWCSCのような高ノードの環境ではNNUEとKPPTの差がR100よりもさらに広がっているのかも?)
しかし一手約1万ノードという普通のスマホよりもかなり小さなノード数でもNNUEが有意に勝っているので現実的に使われている環境で逆転することはなさそう

他にスマホにNNUEが向かない根拠として「NNUEは発熱が大きいのでスマホだと熱によるクロックダウンが起きる」という説が書かれることがあって確かにそれはありうると思う
そして今回の検証だとちゃんと排熱してるPCだし、一つのPC上で対戦させているので仮にNNUEの発熱でクロックダウンしたら相手もその被害を受けてしまって発熱弱体化説の真偽は検証できない
そのあたりを考えると発熱が大きいと故障のリスクもあるしスマホではKPPTやKPP_KKPTのほうがいいというのも確かにあるのかも

結論としては、超低ノード環境でもSOTAの比較では現状NNUEのほうが強いが、レーティング表ほどの差は付かず、スマホが熱くなりすぎるようならKPPTやKPP_KKPTもありってくらいかな