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マイナビニュース 棋聖戦第4局でまさかの第2局と同一局面出現!渡辺明棋聖が誘導 将棋情報局 2020/07/16

まさかその第2局と同一局面に誘導するとは!
31手目、ついに渡辺棋聖が変化。第2局では▲4五歩と仕掛けた局面で、じっと▲9六歩と端歩を突いて前例から離れました。

この手に対し、藤井七段も△1四歩と突いて自玉の懐を広げます。そして、渡辺棋聖は第2局と同様、▲4五歩と突いて開戦。ただし、今回は3筋の突き捨ても加え、攻めの幅を広げる工夫も加えています。
第2局ではここで△5四金が指されました。第2局と第4局との違いを改めてまとめておきましょう。

・▲9六歩と△1四歩の交換が入っている
第2局では△8七歩と打たれた局面で、先手は▲9六歩と受けざるを得なかった。第2局と同様に進んだ場合、先手にとっては間違いなくプラスの手。
一方、後手は第2局の展開では端に玉が行くことなく勝利しているため、同様の展開だとプラスとは言えない。

・3筋の突き捨てが入っている
第2局でも先手は▲3五歩と突いた。しかし、もはや▲3五歩〜▲3四歩が間に合う局面ではなく、後手に無視されて攻め込まれてしまった。
第4局では早いタイミングで突いたので、後手は△3五同歩と応じるしかなかった。突き捨てが入ったことで、▲3三歩の叩きなどが生じている。3筋を絡めた攻めが予想されるため、後手は3筋の守備力が減少する△5四金とは指しにくい。

渡辺棋聖の改良手順によって、第2局と同様に進めると後手に不利な条件が多いということが分かります。岐路を迎えた藤井七段は26分考え、第2局とは逆サイドに金を上がる、△3四金を着手。3筋の突き捨てを逆用した一手です。
この手の直接的な狙いは、△5四金と同じく4五桂を取ろうというもの。当然先手はみすみす桂を取らせるわけがないので、早速突き捨てを生かして▲3三歩と打ち込んでいきました。桂交換が行われ、ひとまず局面がすっきりとしました。ここから攻めの第2波をどのように先手が繰り出すのかが注目です。
渡辺棋聖の工夫によって、第2局とは異なる展開となった第4局。藤井七段が17歳最後のタイトル戦対局を制して、史上最年少でタイトルを獲得するのか。それとも用意周到な作戦選択が功を奏し、渡辺棋聖が2勝2敗のタイに持ち込むのか