「先生ーー!」
「遅いよ来るの」
「久々で道に迷いました」
「数ヶ月で忘れるの? すごいね」
あぁ先生の部屋でゴロゴロしながら将棋を見る幸せ。なんて素敵な時間。でも先生はまだ伝染病を警戒しててくっつくなって……今日は長澤くん対聖治くん、これに勝ったらタイトル挑戦へぇー。
「関心ないなら見に来なくていいよ」
「ありますあります」
聖治くんが勝って、更新出来ないはずの記録が更新出来るって大騒ぎに……ふーん。解説先着順?! 電話電話! やりますやります、先生とさせて下さい!
「やったー先生と解説ー!」
「それはいいけどこーちゃんほんとこれに興味ないの?」
「どれほどのことなのかピンと来なくて……」
「ねぇもし僕だとしたら? 僕が30年間、こーちゃんがまだ将棋を知らない頃から、守り続けてきた記録が上書きされてしまったら?」
「そんなの嫌ですよ! これどういうことなんですか? 忖度ってことですか? えっとえっと皆さんは何と書き込んで……」
「もぉー全然反応が違う……」