>>187
私にとって何よりも大きな存在である師匠の木村王位に対する思いを言葉にしたいと思います。

入門したのは中学2年生になろうかと、今から12年ほど前になります。月1回のペースで将棋を教えてくださいました。そのおかげもあって、しばらく順調に上がることができました。
(中略)
そこでようやく考え始めるんですね。自分は一体どうしたいのかと、本気でプロを目指しているのかと。師匠は、自分がプロになりたいと思っているからこそ、将棋を教えてくれています。少なくない時間を取ってくださいます。本気で自分をプロにしてくれようとしているのは感じます。しかしですね、自分の意志は長い間あいまいのままで、それに気づくと師匠にただ、申し訳なくて。師匠に教わる時間が、つらい時間になる時期もありました。

結局、高校は付属校で、受験がないこともあり、大学にも進学してしまいました。結論の先送りでした。ようやくプロになる意志が固まったのは、大学1年をしばらく過ごした後でした。何より後悔しているのは、この一連の気持ちの変化を師匠に伝えることはありませんでした。プロになった後もそうです。

さすがに師匠のことです。私が何か悩んでいるような、隠しているようなことは当時から気づいていたと思います。それでもあえて何も聞かずに、ただ将棋を指してくださって、その優しさは自分には、あまりにもまぶしすぎました。師匠が王位を取って、自分も一つ結果を残して、ようやく向き合うことができました。言葉にしようと思います。

本当にここまで育ててくださってありがとうございます。もう、とにかくどうしようもない弟子なんですけれども、これからもどうかよろしくお願いします。

今は先生相手に将棋を指すのが一番楽しいと思っています。先ほど「私を越えてくれ」と言っていましたけれども、私はずっと私より上の存在でいてほしいと思っています。
https://times.abema.tv/articles/-/7033565