類似事例の処分(有無・内容)との不均衡性が原告の主張なら、なおさらそれに正面から答える方がベターでしょ。
部分社会が観念できるなら一律に司法権の対象外に放逐するという考え方は、現在は支持が少ないし、国民の裁判を受ける権利の観点から言っても妥当とは言えないという批判が強い。
本件のように訴訟上の請求の前提問題として団体の内部規律が問題となってくる事案において、どこで線を引くか(司法権の範囲・限界の内外をどう振り分けるか)というのはかなり議論が分かれており、判例上も決着が付いているとは言い難い問題と考えられている(その中でも、国民の裁判を受ける権利という観点から議論を組み立てる考え方が比較的有力)。本件は、同種の事案の中でもおそらく稀なほど妥当な帰結が明らかな事案であって、裁判所としては本案判断をする方が穏当という判断に傾くと思われる。
逆にいうと、本件のように据わりの良い解決が明快な事案についてさえ訴え却下にするならば、訴訟上の請求の前提問題として団体の内部規律に関わる事案は全て司法権の対象外とするという方向性を指向するものといえるが、それが法律家一般の支持を得られるかというと、かなり疑問ではある。