至高の芸術「藤井聡太の37手詰」、見えなかったと明かした伊藤匠七段の収穫は「自分が弱すぎると認識できたこと」<竜王戦第4局・後編>[指す将が行く]
https://www.yomiuri.co.jp/igoshougi/ryuoh/20231123-OYT8T50001/
午後3時を回った頃合いだった。藤井竜王は2日目午後の「定跡」となっているダブルドリンクの注文だった。伊藤七段はアップルパイとりんごジュースという「りんご攻め」のオーダーだった。立会人の渡辺明九段は「形勢が苦しすぎますし、時間も貴重です。伊藤七段は自分の控室に戻って、おやつを食べる時間はないでしょう」とモニターを見ながら話した。

ふと、席を外した伊藤七段。「お手洗いでしょう」と控室の声。伊藤七段は「ダッシュで自室に向かいました」と明かす。目の前にあったのは、なかなかの大きさのアップルパイ。考慮時間を残しておきたい伊藤七段は「アップルパイをりんごジュースで流し込みました。味は……覚えていません」と笑った。一気に食べ終えた伊藤七段。「残すのは、作ってくださった方に申し訳ないですから」と語った。