若島正 part3 【アーダ】
: ドーキー・アーカイヴ。「「〈悪党パーカー〉シリーズや数々のコメディ・ミステリで知られる巨匠ウェストレイクによる爆笑の半自伝的実験小説。」 ⇒ ドナルド・E・ウェストレイク/矢口誠訳/若島正,横山茂雄監修 『さらば、シェヘラザード』国書刊行会 わたしはなぜ池内紀さんが好きなのかという話を、昔にあるところで書いたことがあります。こちら。 https://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/wl/wakashima.html From: propara 翻訳の世界 1992年10月号 若島正「改訳したい10大翻訳」 グレアム・グリーン『第三の男』小津次郎訳(早川書房) わたし自身はけっしてグリーンの最高傑作が『第三の男』だなんて思っているわけではありませんが、 普通の読者はやはりグリーンと言えばまずこの小説を手に取るわけで、それがこの程度の翻訳では拙いんじゃありませんか。 原文は難しくないのに、単純な誤訳が多く、ことに恋愛的要素がからむ場面になるとますます怪しくなる。 とてもシェイクスピア学の権威であった小津氏の訳だとは思えません(もしかして、これは小津氏ご本人が訳していないのでは)。(後略) アントニイ・バージェス『時計じかけのオレンジ』乾信一郎訳(早川文庫) これ、話そのものはたいしたことはなくて、例の「ナドサット語」という造語が小説全体を支えているわけです。だからそこのところの翻 訳をどう処理するかが勝負だろうと思うんですが、それをあっさり訳者は回避しちゃった。なるほど逃げるのは楽ですが、やはり逃げたん じゃおもしろくない。『フィネガンズ・ウェイク』も翻訳できるんですから、ジョイスの末裔であるバージェスなんかそれに比べりゃ 簡単じゃないの、と無責任な読者のわたしは思ったりするんですが。 ウィリアム・トレヴァー『リッツホテルの天使達』後惠子訳(ほおずき書籍) こういう本が存在していることじたい、まったく信じられないほどおぞましい翻訳。当代きっての短編の名手による名品揃いを、 よくぞここまでめちゃくちゃにしてくれたものだとつくづく感心します。(略)なにしろ、この翻訳の会話部分は、 およそ人間が喋っている言葉とは思えませんから。 ヘンリー・ミラー『南回帰線』大久保康雄訳(新潮社) これって実は削除訳なんですよね。どういう事情か知りませんが、勝手に自己検閲しちゃったんでしょうか。 原文と照らし合わせてみると、削除箇所はどれもこれももう大笑いするしかないっていう凄い文章ばかり。 つまりミラーのミラーたる部分が欠落していて、そこが笑う女陰みたいに黒々と空いた穴になっている感じで、 これでは冗談にもなりません。ノーマン・メイラー編の『天才と肉欲』(野島秀勝訳、TBSブリタニカ)でその「陰部」を拝むことはできますが、 この際ぜひ文庫版で改訳してほしいものです。 ジョン・アップダイク『カップルズ』宮本陽吉訳(新潮社) アップダイクは翻訳に恵まれているとは言えません。あえて「この一冊」を挙げるとすると、誤訳の宝庫として有名な『走れウサギ』になるでしょうが、 ここでは同じ訳者の手になる『カップルズ』を選びます。姦通という主題を扱いながら、とにかく典雅としか言いようのない文章で綴られた傑作だけに、 ぜひとも美しい日本語で読みたいものです。 トルーマン・カポーティ『夜の樹』龍口直太郎訳(新潮社) アップダイク同様、翻訳のせいか日本では評価されないカポーティ。この天才の文章を台無しにしてしまう翻訳は、やはり困りもの。 たとえば短編集『夜の樹』は、うしろの解説を読めば、この訳者が小説とはまったく無縁の人だということがよくわかります。 そういう人にカポーティはやってもらいたくないですね。(略)ここはぜひ、「無頭の鷹」を自発的に訳してみたことがあるという 村上春樹氏の翻訳で読んでみたいところです。 ウラジミール・ナボコフ『ロリータ』大久保康雄訳(新潮文庫) かつて丸谷才一氏が具体的に誤訳を指摘して噛みついたといういわくつきの翻訳。巷ではこれは読んではいけない翻訳本として喧伝されているそうな。 そういうはなはだ芳しからぬ世評にもかかわらず、わたしはこの翻訳を評価しています。 問題になった初版は点検していませんが、意外にこの文庫版には明らかな誤訳はそう多くはありません。(後略) ウラジミール・ナボコフ『アーダ』斎藤数衛訳(早川書房) 日本で『アーダ』について誰も語らないのは、やはり翻訳のどこかに原因があるとしか思えません。たとえば、ナボコフ自身がつけた注釈を、 あたかも訳者による注釈であるかのように処理したりしているのは、どう考えてもおかしな話です。 この絢爛たるナボコフ世界に注釈をつけるとすれば、大変な努力を要するのは目に見えているし、 その労力を背負いこむだけのナボコフに対する愛が翻訳者には要求されるでしょう。(後略) ウラジミール・ナボコフ『賜物』大津栄一郎訳(福武文庫) ついでに、ナボコフをもう一冊。これは白水社から出ていたものを「徹底的に改訳した」新訳版だとのこと。しかし、原文と読み比べると、 明らかな誤訳が数多くそのまま初版から生き残っていて、それが結構、ナボコフを読むおもしろさと直結する箇所だけに、残念。 邪推するに、原文と照合する時間的な余裕がなく、初版の日本語の文章に手を入れられただけなのではないでしょうか。 大津氏の文章はナボコフの感性としっくり合うような気がしますし、なんとかナボコフの亡命時代の最高傑作と評価の 高いこの小説をさらに良いものにしていただきたく思います。 トマス・ピンチョン『V.』三宅卓雄訳他(国書刊行会) この難物をとにかく翻訳しただけでも充分価値があるわけで、その意味では訳者グループの努力に敬意を表します。ただ、 よく読みこんではあるものの、いかにも研究会の産物という感じで、ピンチョンのあの猥雑なエネルギーに欠けていて、 別のヴァージョンを読んでみたい気になるのも事実。訳者候補としては、ノリの良さでは天下一品でおそらく ピンチョン翻訳の最適任者である佐藤良明氏か、みごとな『V.』論を書いた池澤夏樹氏にお願いしたい。 少女達と無敵の人による或る秘めやかな「性的儀式」 無敵の人3.0 POST HUMAN SEXと 量子的シンギュラリティに関する最終報告 https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n3344fs/ 👀 Rock54: Caution(BBR-MD5:0be20a4887bc3d3353f527d3636c44e3) 数学セミナー最新号 ・数学トラヴァース/抽象的思考による詰将棋と文学/ 若島正氏(詰将棋作家,英文学者)にきく…… 52 将棋囲碁は基礎で 三国志信長の野望ガチャポン戦士魔人転生とかメタルマックス ロボット大戦とか、そういう方で活躍している人が、実践も経験して多い。 将棋囲碁は基礎で 三国志信長の野望ガチャポン戦士魔人転生とかメタルマックス ロボット大戦とか、そういう方で活躍している人が、実戦も経験して多い。 ゲームと戦争ね。 盛り上がるでしょ。将棋や囲碁より。 攻略本なんか懐かしい。公式ガイドとか。RPGだけじゃないよ。戦争はユニット型ゲームで 育った世代も耐性入りで名。 攻略本なんか懐かしい。公式ガイドとか。RPGだけじゃないよ。戦争はユニット型ゲームで 育った世代も体制入りでな。 そんなものが無かったらまず負けるから、貧困も悪だ。 いろんな可能性を若者はすり減らしてしまうから勝ち残りの大人がよい誘導をしなくちゃならない。 河出書房新社@かなり家ニ居リマス @Kawade_shobo · 5時間 本日8月10日は若島正さんのお誕生日。 京都大学大学院修士課程修了。京大名誉教授。訳書に『ロリータ』『私のカトリック少女時代』、著書に『ロリータ、ロリータ、ロリータ』など。英米文学の研究者にして翻訳家かつ世界最高峰の詰将棋作家でもある。 『本の雑誌2012ベスト10』 (2013年私のベスト3) 若島正 『know』 野崎まど 『これは小説ではない』 デイヴィッド・マークソン 『カッパ・ブックスの時代』 新海均 門前照二 メモ1/3。『乱視読者の新冒険』(若島正 研究社)に言及のある事典に 『怪奇作家事典(E・F・ブライラー)』という見慣れない1冊がある。※ もう2冊は『世界幻想作家事典(荒俣宏編著 国書刊行会)』と『幻想文 学大事典(ジャック・サリヴァン 編 高山宏/風間賢二 監修)』 メモ2/3。『怪奇作家事典』はおそらく『The guide to supernatural fiction』(Bleiler Everett Franklin Kent State University Press 1983)だと思 われる。 メモ3/3。『The guide to supernatural fiction』(Bleiler Everett Franklin Kent State University Press 1983)は米国Amazonでプレミア価格(出品者 都合により日本への輸入も不可)。abebooksでもヒットしない。国内の 大学図書館では数館が所蔵している模様。 2024年3月22日 「a day in the life of mercy snow」 2003年9月前半 ♪小説らしいことは何ですか ミステリ読者がつぶやけば ミステリらしいことは何ですか 答えの出ない迷い事 それは 若島正さんに聞いてみないとネ 若島正さんに聞いてみないとネ 「物書きとは文章がうまくて成り立つ商売である」 簡単なことだとかたづけて read.cgi ver 07.5.0 2024/04/24 Walang Kapalit ★ | Donguri System Team 5ちゃんねる