>>365
 2005年東京芸大による初演(DVDあり)の現代楽器によるものと違い、
チェンバロを含む最小限の古楽的アンサンブルがオーケストラピットで演奏。
合唱も最小限の少人数で古楽風の器楽と柔らかな語感の鴎外の日本語訳詞がよく合った。
 主役のオルフェウスはカウンターテノールだが言葉を生かした歌唱と安定した音程ですばらしい。
 舞台装置は前述の反響版と舞台中央奥からピット上まで伸びるの一段高い通路とその真ん中の街灯のみ
だが、これが、この世と常世の行き来を表現するのに効果絶大だった。
ホールの反響版には映像を投影したが、「既成の素材を貼り付けた」感は否めず、舞台での演技・歌唱が
見事なだけに残念。
 抽象的な舞台に対し、衣装はフロックコート、デコルテ、振袖など和洋混ざった明治〜大正時代のもの
が訳詩の語感と合っていた。愛の神が羽のような巨大な蝶々結帯の振袖姿なのが「和風天使」な感じで良い。
 再演を望む。