>>109
あれは骨董品店の店主の態度が秀逸なんですよね。

> 箱を開けてちょいと覗き、すぐ蓋をして、
> つまらなそうに紐をかけ、これはいいですよ、と言った。

> そこへ小僧さんがお茶を持って来た。主人は皿を出して、
> 「これイケないんだから、見とけ」と言った。

> 小僧さんは、(中略)やがて情けなさそうな顔をして「わかりません」と言う。
> 「わからない? もっとよく見なさい」と主人はこっちを向いてしまう。

> 小僧さんは、(中略)皿の前に坐り、黙って動かなくなってしまった。

このあと、この皿は文藝春秋の社長だった佐佐木茂索氏に買い求められたので、
実は“ホンモノ”だったと分かる仕組みになっているのだが、
青山二郎が“イケない”と判断した理由がぼかされていてはっきりされていない。
青山はこの品がニセ物だという意味で言ったのか、
「図柄や値段を聞い」て、価格に見合わない品を買った、と言いたかったのか。