人生は短く芸術は永しというが毎年夥しく「生まれる」
文士のうち後代の記憶に残るのは何人か。志賀君も
阿川君もすでに文庫本にすら殆ど登場しない。
 ひどいのは、歌手、演奏家、俳優。 九代目市川団十郎
が名優だったといってもそれは死後せいぜい十五年ぐらい
の記憶。芥川比呂之のハムレットは素晴らしかった、藤原義江
のテノールは歴史にのこる、エノケンのベアトリネーチャンしびれたなあ、
パガニーニのヴァイオリンは素晴らしかった?