【悲の器】高橋和巳2【邪宗門】
近代文明、資本主義形成も、プロテスタンティズムの精神ありてのみ可能なりとの学説も、他ならぬこの日本の発展によりて反証される いいね。
いまでは語る人もいなくなってしまったけど・・・ 高橋和巳の全集をかつて出した河出書房新社がいま代表作を文庫で刊行している
『邪宗門』『憂鬱なる党派』『悲の器』『我が心は石にあらず』
『日本の悪霊』『わが解体』・・・長く刊行されることを願う 『日本の悪霊』河出文庫より新潮文庫の表紙カバーが気に入って古本を買った オウム事件の前兆だな
小説が予言してから 現実が起きる
ゴルゴ13でヒトをばらしてトイレに流したら 次に現実になった かつて『悲の器』『我が心は石にあらず』を読んで、剛直な筆力はあるが、
よい文学作品になるにはもっと柔らかさが必要だと思った
いま『邪宗門』を中盤まで読んで、剛直さと柔らかさを兼ね備えた傑作
という印象がすでにある
海外の古典文学のような堂々たる文体だ 『邪宗門』はある新興宗教団体の隆盛と崩壊を描いているが、
宗教の問題に限定されず、戦前から戦後直後の日本国内と外地の日本人の姿を
多面的に描き、日本人の精神史をスケール豊かに形成している
日本文学に残る傑作だと思う >>166
出版されたころに吉本隆明がボロクソに貶した。
大前研一の原発推進論にコロッといかれたり、反核運動をソ連の陰謀だと決めつけたりのトンデモおじさんだったから、文学の評価もトンデモだったんだよね。
でもそのトンデモおじさんのおかげで、『邪宗門』の評価が低いままなのはとても残念だ。 いま書店では新潮社が三島の没後50年フェアをやっているが、
来年高橋和巳の没後50年なんだよね
河出書房新社は再評価のために何かやってほしいね
これほどの小説を書ける作家は滅多にいないから >>168
今の出版社には何も出来ないだろ。
馬鹿しかいないんだから。 三島論と高橋論の計200枚で400万円入るなら、書くわなw >>171
印税を考えるなら、2000円の本を出しても1冊売れて200円。
友人知人親戚中に売りまくっても収入は2万円ぐらいかな? >>167
吉本は埴谷雄高の『死霊』第5章が出た後、
何人かの文学者と「『死霊』出版記念と高橋和巳追悼のための集会」
とかいう講演旅行をしている。そこで某大学の学生
が電話で闘争のカンバを要求し、宿舎に押しかけ、
云々という逸話もある。吉本は交通費だけしか
もらわないにも拘らず、「吉本さんは20万もらった
そうではないか」と言われ、と『情況への発言』
1976年9月きれぎれの感想 に書いてある。
『邪宗門』については「初期の『悲の器』のほうが
質は高い」「しかし主人公が破滅するまでとにかく
行きつくところ
まで徹底的に書いているその意味では面白い、
興味深い」と評価してる。
吉本が低評価したのは『わが解体』という、
大学紛争を書いた本。「彼が誠実であるほど、
読んでいるとゲラゲラ笑うところがたくさんある」
「あの倫理観は高度とは思いません」
と磯田光一との対談で喋っている。小説については
「インテリ向けの大衆小説」という評価。
ちゃんと調べた方がいい。 三島も高橋も吉本も風化した。
スガや千坂らが一生懸命、1970年以前を掘り起こしてるが、難しいわな。
彼等より上の世代となると、もはや酒を飲みながらの懐古話しかない。 >>173
もう少し吉本を読んでから否定してくれ。
吉本は『邪宗門』を知識人向け大衆小説と言って腐したんだよ。
それを真に受けた評論家、あるいは吉本に怖れをなした文芸評論家たちは『邪宗門』を評価することができなかった。 高橋和巳は新左翼の学生に人気があったので、そのことに
吉本隆明が嫉妬したという面もあったのではないか?
さらに高橋は三島と直接交流したり、行動力や人間的な幅
もあったとwikiにあるw >>177
嫉妬はどうか知らないが、吉本が”正当左翼”を毛嫌いしていたのは確か。
高橋は”正当左翼”にも耳を傾けたので、吉本の逆鱗に触れたとはいえる。
だれも敵わない論破右翼吉本は、左右から敬して遠ざけられた面がある。 吉本隆明は高橋和巳のパトロン、埴谷雄高には尊敬の念を抱いていた
後年、埴谷と吉本はコムデギャルソン論争で袂を分かったが
吉本がどう評価したかなどどうでもいいけれど、もし『邪宗門』が大衆小説なら、
バルザックやドストエフスキーも大衆小説ということになる
自分は日本文学史上『邪宗門』は高く評価されるべきと考える >>179
誰だか忘れたが、トルストイを大衆小説と言い放った日本の私小説家はいたな。
吉本は高橋和巳を援助できるほど金持ちとも思えないが。
作品に対しても高い評価はしていない。
疑似知識人としてこき下ろしてはいたけど。
『邪宗門』が高く評価されるべきだという主張には賛成。
高橋和巳は吉本隆明の冷笑によってずいぶん被害を受けてると思う。 >>180
ヨーロッパの小説を大衆小説だと言い切ると、日本の純文学は私小説に限定されてしまう
私小説にも優れた作品はあるが、それだけが日本文学史というのでは随分痩せたものになる >>181
日本の私小説って、もの凄く視野狭窄で偏執狂的なところがあるから、文学といえるかどうかすら疑問なものもある。
源氏物語を産んだ土壌があるのにね。 戦前の私小説全盛時代はもはや過去のものとなり、
現代で私小説家を名乗っているのは西村賢太くらいにすぎない
『ふくろう党』や『悪霊』、『邪宗門』を大衆小説と見下すと
逆に小馬鹿にされるだろう 捨子物語、悲の器、邪宗門、憂鬱なる党派、我が心は石にあらず、日本の悪霊
完結した長編小説はこの6作かな みんなどんな作家の本読んでるの?
高橋和巳の文章が好きすぎて、他の作家の本がほとんど読めないし、
50年前の内容なのがつらい >>188
笹山久三
久々に邪宗門が読みたくなった ふとしたきっかけで「邪宗門」を読んだ
めっちゃ面白かったけどどう評価して良いか分からずこのスレに来て「インテリ向けの大衆小説」という評に納得してしまった
極めて観念的な部分と意外な程に素朴なメロドラマ的な部分の乖離をどう捉えるかという気がする
女性の描き方とかはまあ失笑されても仕方ない気がするし
でもとにかく知性とエネルギーに溢れたすごい小説だと思う 「右翼と左翼が未分化だった戦前」の日本で、絶大な力を持った「新宗教」
「神がかり」になった女性のもとで「世直し」を訴える
https://gendai.media/articles/-/113056
高橋和巳の小説『邪宗門』に登場する新宗教団体「ひのもと救霊会」のモデルとして
も知られる大本(いわゆる大本教)、その教祖である出口なおも、自らの教えを打ち
立てた56歳までは苦労の連続でした >>191
『邪宗門』を大衆小説と捉える見方には反対だな
そうすると、物語性のないエッセイ風の小説だけが
純文学と見なされるようになってしまうから
『邪宗門』には通俗性はなく、豊かな物語性がある
これはヨーロッパの本格小説とも相通ずるところだ