クライテムネストラ(クライティ)Clytemnestra(Clytie)

南北戦争中、北部連合軍にサトペン荘園(インディアンから買収した
100平方マイルの広大な土地に因み、Sutpen's Hundredと呼ばれて
いる)も荒らされ、食糧も不足した際、サトペン夫人(アブサロムに
よるとエレン)はワッシのもとに、裏庭のブドウ棚に熟している山ブ
ドウを取って食べてもいいとの使いを寄こす。
(といってもサトペンの屋敷の勝手口で使いはワッシに伝言したようだ)
使いである屋敷のメイドの黒人女は、ワッシに、屋敷の敷居を跨がせない。
サトペンは白人の屑であるワッシを屋敷にいれたことなどなかった。
サトペンが従軍で留守の今は、自分がサトペンに代わり屋敷を守る
立場にある、だからお前が敷居を跨ぐことなど私が許さないぞといった調子。

アブサロムをみると、この黒人女は、サトペンが黒人奴隷に産ませた子
クライテムネストラであることが明示されている。

屋敷の守り手の意識を持ち、最後は自ら屋敷に火をつけ、炎に包まれる屋敷に
殉じていく。
その最期はレベッカのダンヴァース夫人を思わせる。前スレ825