ギヨーム・アポリネールに

ふたりで見送った死神の思い出に

ぼくらのあいだで跳ねて吼えて  
            そいつは倒れた

埋葬された花束の思い出に

「夜想曲」ジュゼッぺ・ウンガレッティ

きらめく光の道程を
さすらいゆく人

憂鬱な風の下で空は
消えてしまった

かぐろい枝先に春がいま点されてゆく

この一時に耳を澄ますのは詩人だけだ

そして詩人は立ちあがる
きらめく光と一体になった
あの力を振りしぼって

(続く)