0195吾輩は名無しである
2012/05/13(日) 11:25:50.65茶碗のふちを箸でたたくな
餓鬼(がき)がやってくる
大事なごはんを餓鬼に食われる
幼兒の私に祖母が言った
食後靜かに横たわった
今は年老いた私のところへ
奇妙な鬼どもがやってきた
なんの物音も立てはしなかったのに
外には雪が降っている
雪に足跡を殘さず
足も濡らさずに庭から
私の部屋にはいってきた
小肥りした鬼どもは
顔の色艶もよく飢えてなどいない
きっと私なんかよりずっといい暮らしをしているのだ
病み衰えた私のほうが餓鬼のようだ
何をしに來たのだろう
私を慰めに來たのか
こんな陽氣な鬼のほうが
骨と皮の餓鬼よりむしろ氣味が惡い
(続く)