意識の流れについてのスレ
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/book/1356348264/l50

そのスレで議論されていることに十分についていけるほどの見識を僕は持っていないのが悲しい。
第一、James Joyce もまだ20ページくらいしか読んだことがないし、William Faulkner も
ほんの100ページほどしか読んでない。William James は、"Varieties of Religious
Experience" を大昔に読んだだけ。

Virginia Woolf だけは、ほんの2か月ほど前からあれこれ拾い読みみたいなことをしている。
基本的には翻訳を読まずに原文だけを読もうと躍起になっている。一つには「俺は外大の英米
学科を出たんだから、英米のものは翻訳を読むわけには参らぬ」という意地がある。


とは言いながら、プルーストスレの人から光文社の「ダロウェイ夫人」の解説を強く勧められ、
さっそく買って、解説だけはすぐに読んだ。確かに素晴らしい解説だった。とても短い解説なんだけど、
たくさんのことが詰まっている。Virginia Woolf の日記や評論や小説や当時の社会背景や
英文学の全体やイギリスの歴史などを広範に研究し尽くしている人だからこそ書ける解説だと思う。

ついでに「ダロウェイ夫人」の本文の翻訳もちらちらと拾い読みしたら、その読みやすさにびっくりした。
翻訳とは思えない自然さ。無理をして原文でひいこら言いながら、辞書とかネット上のあちこちを
引っ張り回し、この小説に出てくる単語のみならず、引用される詩歌の全文を英文で端から端まで
読んでいき、出てくる地名は片っ端から Wikipedia やネット上の地図を見てその場所を確認し、
その地名に関連する写真も眺め、出てくる有名な人名も調べ、登場人物については、それぞれ
Virginia Woolf がなぜそのような名前をつけたのかを考えながら読み進める。

そして、ため息ばかりついてしまう。僕は、原文ではたったの220ページほどでしかないこんなに
短い小説でさえ、満足には理解できないのだと思い知らされ、絶望に近いものを感じる。短くて
有名で比較的に平易なはずのこの小説についてさえこんなに苦労するんだから、もっとはるかに
難しいと言われる James Joyce の "Ulysses" とか Henry James なんて僕に読める日が
来るのだろうか?