エドモンド・ジャベス「歓待の書」:鈴木創士訳

「パリに雨が降っている。
ひとりの通行人ーそれは彼だろうか?ーが、レインコートの襟を立てて、もくもくと歩き続ける。
それでもやはり、愛すること。
〈私はおまえが誰であるのか知らないが〉、とある賢者が言っていた。〈お前が私に似ていることは知っている。〉
〈それにもかかわらずおまえが私にとって大切であるのは、おまえが私に似ているからではなく、おまえが、私にとって、
まだ名前をもっていないからである。〉
〈明日はわれわれの最初の日である。〉」