>>11のつづき
鈴木「なるほどね。その事はまさに『バンドオブザナイト』そのものについても言えるよね。この作品は普通の
   話の筋の所と、妄想状態にある連続的フラッシュというか言葉の奔流みたいな所が交互に出て来る訳だけ
   れど、らもは多分に日常的にもその二つの部分に巻き込まれていて、それをコントロールしようとしてい
   た節があったと思う。そのやり方はとてもらも的であって、たぶん人に真似できない絶妙さがあった。丹
   生谷さんが言うみたいに端正な文章を書く事が出来るという事と、それを破壊せざるを得ない制御できな
   い思考の大爆流という二つの面。彼はその両方を熟知していたと思う。『バンドオブザナイト』はその両
   面をそのままもろに出しちゃった作品という感じで、何度も繰り返されるグッドチューニングから、バッ
   ドチューニングへの移行はかなり目眩を起こさせるものです。あの妄想の部分については非常に良く分る
   って言う人もいたりするけど、本当にそうなのかなぁ。あの部分にはとても美しいイメージがふんだんに
   描かれているけど、とても難解だよ。例えばそれを映像にしようとするとそれなりに可能だと思うけど、
   見る方はかなり苦労するんじゃないかな。」