>>32のつづき
鈴木「それは、推理小説とかだと、やはりバッドチューニングが出せないからじゃないかな。想像だけど、多分
   『ガダラの豚』を書く時にもそういう苦しみがあったと思う。彼は最初の頃から山田風太郎の「忍法帖」
   とか、セリーヌ、ヘンリーミラー、ケルアックでしょ。それじゃあ推理小説書けないじゃない(笑)。
   日常生活でも幻覚が出たり、幽霊を見たりもしているけど、いつも因縁話にはしなかったなあ。自宅で幽
   霊みたいなものを見たときも、むかしそこがレンコン畑だったから「レンコンの霊魂」みたいに実生活に
   オチをつけたりして、ね。たぶん恐がりなんだよ。エッセイにも書いているけれど、実際に僕にそう言っ
   ていたし、因縁話にはしたがらなかった。だからいわゆる推理小説は書けないかも。また書く気もなかっ 
   たんじゃないかな。」