『ギルガメッシュ』を『イーリアス』、『オデュッセイア』と比較すると、
興味深い相違点が認められる。
全ての作品の始まりは、言うまでもなく、口誦であった。
前者は文字化された後も改作が施されたのに対して、
『イーリアス』と『オデュッセイア』は文字化された後は、
基本的には改作されなかった。
また、前者は知的貴族階級の独占物であり、読まれるものであったが、
『イーリアス』と『オデュッセイア』はギリシア市民の共有物であり、
聞くものとして親しまれ、その後、読まれるようになった。
古代ギリシア文明は民主主義を生み出したが、
詩においても民主化を行なったのである。
https://plaza.rakuten.co.jp/wooging/2010/