>>215
主にドイツ語で読んでた(英・邦訳が出る数ヶ月前だったもので)
セックスの件になるたびにArschおよびMundにぶち込もうとする主人公なもんで気になった

フランスはカトリック系教育機関に補助金を出そうとするたびに数十万人規模のデモが起きて政権が潰れている
そんな国でイスラム系教育機関ができることとパリ大学がイスラム化されることには大きな差異がある
正直なところ「服従」というタイトルの意味は物語の3/4が進んで唐突に出てくる「O嬢の物語」に言及されるまでわからなかった
フランス語でSoumission、ドイツ語でUnterwerfung、英語でsubmissionなんだけどムスリム系大学の認可→公立大学のムスリム化が一読するとすごく薄っぺらい論理で正当化されている
それを徹頭徹尾「知識人の無力」で押し通そうとするのは確かに帯を書いてる知識人の言うとおりではある
ただシャルリ・エブドの後の数百万人の行進はウェルベックはどう思ったのかはこの7年後の小説には当然記載はない
シリア難民の問題も出現した現在ではさらにイスラム政党が妥協の上勝利する可能性は低くなっている
未来のフランス1国内部の描写しかないのだけれどもしイスラム政党が政権をとっていれば難民はドイツでなくフランスに一極集中するだろう
今EUで難民を受け入れると謳うのがドイツだけであるのと同じように
あえて言えばたった半年ではあるけれど時代遅れな小説になっていると思った
時代遅れにした原因の大きな部分を小説自体が背負ってしまったという意味で非常に読む意義のある小説なのだけれど
なんとなく他国との比較がなく、主人公も若手の気鋭の大学教授とされるくせに歴史に無知であることを公言するなどなんか自閉していて薄っぺらいという印象を受けた
シラクを救世主として待望するパリ大学のユダヤ系女子大学生とか面白いといえば面白いのだけれど